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Editor's Note 編集長から

24年前の夕日

 

1985年8月12日月曜日の夕刻。私は兵庫県の高級住宅街で大手銀行の頭取の帰宅を待っていました。8月1日に地方支局から大阪経済部に移り、駆け出しの金融担当記者でした。当時、戦後最大の倒産といわれた三光汽船が会社更生法の適用を申請することを決めたのを受けて、メーンバンクの頭取のコメントを取るためでした。

頭取のコメントと表情を近くの公衆電話から口頭で送ると、電話口の大阪本社のデスクは「ご苦労さん。戻って一服したらみんなでビールだ」。連日連夜の取材が続き、朝日の取材は他メディアより先行したこともあって、デスクの声からは一種の達成感と安堵感が伝わってきました。

高速道路を走る車で夕日をながめながら大阪に戻る途中、NHKラジオに周波数を会わせたときでした。「羽田発大阪行きの日本航空のジャンボ機が行方不明になっています」。アナウンサーの緊張した声が飛び込んできました。一瞬、現実感がないほどの衝撃を受け、「大阪」という言葉に、あらためて夕日が落ちかける空を見たのを覚えています。

戻った大阪本社は大混乱でした。まもなく編集局員が総出で乗客名簿をもとに電話をかけまくる作業に入り、もちろん私もその一人になりました。

群馬県・御巣鷹の尾根に墜落し、乗客・乗員520人が犠牲になったJAL123便。あれから24年たったいま、JALそのものが崖っぷちにいます。

23日発行の朝日新聞GLOBE28号の特集は、「JAL 再び翔べるか」です。9月に民主党政権が発足し、JALの経営問題と航空行政は、政権のトップイシューのひとつになりました。GLOBEの取材チームは今回、JALをめぐる政権中枢での緊迫したやりとりもキャッチしました。JALをめぐるOBの年金問題をめぐっても、政府内で激しい意見の応酬が繰り広げられています。

今回の特集では、60年近い日航の歴史も含め、話題の映画「沈まぬ太陽」、そして経営と安全性の関係など、まだまだ目を離せないJALの問題を考える材料を満載しました。

JALの象徴であった鶴のマークは昨年、機体から完全に消えました。今回フロントページには、その鶴のマークを配したジャンボ機の尾翼を、当時の色を再現してレイアウトしました。刷り上がりを点検しながら、私は24年前の消え残る夕日を思い出しました。

今号をお読みいただいてのご意見、ご感想をお待ちしております。

次号GLOBE29号は、12月7日(月)発行の予定です。ご愛読をどうぞよろしくお願いします。

編集長 杉浦信之

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